令和7年度 ミドルリーダー研修会
期 日:令和7年9月2日(火)
会 場:ホテル青森 3階 孔雀の間
参加者:124名

講演:「保育政策の新たな方向性と保育施設において求められるミドルリーダーの役割」
みどりの風こども園ひろた 園長 渡邊 建道 氏

令和7年度から令和10年度末を見据えた保育政策の新たな方向性が示され、「保育の量の拡大」から「保育の質の確保・向上」への転換が図られることとなった。質の高い保育を実現するカギは、保育内容や環境の重要性もさることながら、とりわけ人材とそれを取り巻く労働環境が重要であり、職場環境や組織体制のあり方が大きく影響する。これまでの保育施設等の組織構造を改め、より専門的かつ組織的な対応を可能とするためには、キャリアアップ研修と処遇改善手当を紐づけした仕組みの整備が不可欠である。
ミドルリーダーの役割は、①パイプ役(上司・管理者、チームメンバー、他のチーム)と②まとめ役(チームメンバー、方針・内容・方法、中間経過・最終結果等)である。
ミドルリーダーの行動・活動は、①できること、まずすべきことから②計画的・段階的に進める③PDCAで④チーム内で役割分担する⑤他のチームとも分担・協働する⑥他園の取り組みを参考にする を意識して取組むことが大切。
こども家庭庁は令和8年度概算要求に、地域における保育の質向上を進めるため、ミドルリーダーの育成や活動に係る費用を補助する「ミドルリーダーによる保育の質向上推進事業」を新しく創設し、ミドルリーダーが他施設と学びを深めることを主眼とした公開保育や、園内研修で中核的な役割を担うことが期待されている。
実践発表:「当園でのキャリアアップ体制の実際について …専門委員会・チーム等の編成と活用例の紹介…」
発表① 舞戸子の星こども園(鰺ヶ沢町) 園長 吉田 諭大 氏

定員65名、職員19名の比較的小規模な園の実践事例として、組織体系図を用いてチーム編成と主な活動内容等について発表されました。現状の課題として、掛け持ちの負担や人事異動の影響を受けやすい点などを挙げており、今後は分野ごとの不公平感を改善し、職員にとって公平感や納得感のある運用に繋げていきたいと話されました。
発表② よしのこども園 (むつ市) 園長 真手 めぐみ 氏

定員90名、職員30名という中規模な施設の事例として、各専門分野の円滑な運営を推進していくことを目的に、分野別のメンバーの他に副園長・主幹などの先生をサポート役に配置している点や、また職員の帰属意識が高まった点などを説明されました。今後の課題として、一部職員の業務に掛け持ちがみられることから、若手の人材育成に努め改善を図っていきたいと話されていました。
発表③ 岡三沢こども園 (三沢市) 園長 土屋 智裕 氏

定員135名、職員37名の比較的大規模な施設の取組事例として、委員会活動の組織体制や実践内容などについて説明されました。委員会活動では、分野ごとの業務量に差異が発生し管理者による調整が時々必要となる場合があるものの、一方で職員一人ひとりの役割や職務が明確になり、また若手職員の抜擢の機会に繋がっていると話されました。
グループディスカッション:「各園での専門委員会(部会)・チーム編成の実際について」
進行:こども園あらや 園長 齋藤 憲法 氏

はじめに、自園での実践内容(組織体系図、専門部会編成など)について説明があった後、ミドルリーダーに求められるスキルとして、特にコミュニケーション能力の大切さについて触れ、ミドルリーダーは相手の意見を傾聴し、自分の意見をわかりやすく伝え、組織の活性化と上層部と現場のつなぎ役であることを強調されました。またグループワークでは、参加者それぞれが抱える悩みや解決方法等について意見交換を行い、お互いの話に真剣に耳を傾ける姿がみられました。