- 研修会の概要
- 研修会名: 令和8年度 接遇・マナー研修会
- 開催日時: 令和8年6月23日(火) 13:20~15:30
- 会場: オンライン(Zoom)
- 対象者: 職種職位や経験等に関わらずすべての保育者

- 開催目的
令和9年度に予定されている保育所保育指針等の改訂を見据え、職場での協働的で円滑な人間関係を築くための基盤を整えることを目的としています。保護者や地域社会から信頼され、社会の一員として通用する「保育者として望まれる接遇・マナー」を習得するために本研修が企画されました。
- 主な内容
講師には、Eggコミュニケーション代表・アドバイザーの藤田みよこ氏を迎えました。藤田氏は、学研在職中に東北・函館地区の営業やスタッフ育成、全国新人マネージャーの育成研修等に携わり、独立後は幼稚園・保育園・こども園をはじめ、大学・短大・専門学校、自治体、企業等で研修を多数手がけています。発達支援教育士、日本コミュニケーション能力認定協会1級などの資格を持ち、幼児教育施設に精通した実践的な指導に定評があります。当日は「信頼と共感を育む 接遇マナー研修」と題し、講義と演習が行われました。
3-1. 接遇の定義と組織人としての社会的責任
接遇とは「相手が安心して関われる状態をつくるための行動」であると定義され、日々の振る舞いの積み重ねが園の信頼を育む土台となることが示されました。講義では、氏名・生年月日・住所など個人が特定できる情報の保護、SNSで園の実態を相談することのリスク、手帳への記載や口頭での伝達も個人情報として扱う必要があることなどが、具体的な事例とともに確認されました。あわせて、AI生成物を活用する際の倫理観や著作権への配慮にも触れられました。ハラスメント防止については、身体的攻撃・精神的攻撃・人間関係からの切り離し・過大な要求・過小な要求・個の侵害という6つのパワーハラスメントの類型が、厚生労働省の整理に基づいて紹介され、「業務上必要な指導」と「ハラスメント」の線引きについて理解を深めました。これらの内容は、全10問の「コンプライアンス・ハラスメントクイズ」を通して、参加者自身が○×で判断しながら確認する形で進められ、現代の保育者に求められる高い規範意識と社会的責任が共有されました。
3-2. 実務の基盤となる仕事の進め方と情報共有
効率的な実務遂行に不可欠な時間管理について、仕事は内容と締め切りをセットで確認すること、期限ぎりぎりではなく相手に心配をかけないよう余裕をもって行動することの重要性が示されました。あいまいな指示を受けた際にも、「6W3H」の指標を用いて具体的な期日や段取りに置き換える方法が、発表会の案内作成を例とした場面演習を通して解説されました。また、組織運営の要となる「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」について、①定期的な情報共有(マメなホウレンソウ)、②早めのホウレンソウ、③ごまかさない正確なホウレンソウ、④関係者に漏れなく伝える公平なホウレンソウ、⑤わかりやすいホウレンソウ、という5つのポイントが提示されました。指示を待つのではなく自ら積極的に情報を共有すること、悪い情報ほど迅速かつ正確に伝えること、そして事実と見解を切り分けて箇条書きで整理して伝えることの大切さについて、来客と電話対応が重なった場面を題材とした報告の演習を通して、学びを深めました。
3-3. 保育者の基礎マナーと丁寧なしぐさの実践
身だしなみについては、「清潔感」「控えめ」「安全」「調和」の4つの観点が基準として示され、髪型・メイク・爪・服装などの具体的なチェックポイントが、それぞれどの観点に当てはまるかとともに確認されました。あわせて、笑顔がもたらす心理的効果や、場面に応じた適切な挨拶とお辞儀の作法についての講習が実施されました。特に「先言後礼」に基づく正しいお辞儀の手順や、物の授受を両手で行うといった「最後まで手を添える」丁寧なしぐさが、周囲への思いやりとして不可欠であることが共有されました。とりわけお辞儀は「あいさつを形にしたもの」であり、保育者自身が手本となることで子どもへの育ちにもつながることが示されました。これらの基本動作は、保育者として身につけるべき基本的な資質として整理されました。
3-4. 信頼を深める対人応対と保護者への誠実な向き合い方
組織の評価に直結する電話応対では、口をしっかり開け語尾まではっきり発音する「笑声(えごえ)」による明るい対応が大切であることが指導されました。来客応対では、ご案内から席次、お茶の出し方、お見送りに至るまでの一連の所作が、玄関や室内など場面ごとに具体的に示されました。これらの応対については、「敬語クイズ」「クッション言葉クイズ」「電話・来客応対クイズ」などを通じて、正しい言葉遣いや所作を参加者自身が考えながら確認しました。保護者応対については、保護者が園に寄せる期待を「安全・安心・愛情」の3要素に整理し、相手の話をさえぎらずに受けとめる傾聴の姿勢を持って、誠実に寄り添うことの重要性が説かれました。不満やクレームが寄せられた際にも、まずお詫びと相手の心情の理解から入り、正しい手順を踏んで対応することで、かえって信頼を深める機会へと繋げられるという実践的なアプローチが提示されました。
- まとめ
本研修会は、今年度のメインテーマである『転換期へのプロローグ』の一環として、オンライン形式で実施されました。講義の随所に事例演習やクイズが取り入れられ、参加者が組織人としての規範や実践的な接遇スキルを体系的に確認したことで、研修要綱に定められた保育者に求められるマナー全般に関するプログラムが全て完了しました。