青森県保育連合会 令和7年度 主任・主幹保育者研修会(8月19日・火)
開会挨拶~
青森県保育連合会 会長 渡邊建道 氏
◇保育政策の新たな方向性
○待機児童対策を中心とした『保育の量の拡大』から、令和7年度から令和10年度までの5年をかけての3つの柱を軸とする保育政策
1.地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実を国が補助する。
2.全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取り組みの1つとしての「こども誰でも通園制度」は、全ての園や施設ではなく、全ての市町村で取り組んでほしいということである。
3.保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善として、保育士等の更なる処遇改善。
*8月中に給料や人件費率など、経営情報の見える化(公表)。
◇性暴力のガイドラインからの性犯罪歴チェック
◇保育所保育指針や要領が、令和10年度からは質を高めるためのものに改正。
講演1.グループディスカッション
幼保連携型認定こども園チャリティー第一保育園 園長 黒沢のぞみ 氏
◇「ストレスが高まりやすい現状と保育の専門性」
・労働安全衛生法の改正により、ストレスチェックの実施が、労働者50人以上の事業場は義務となり、労働者50人未満の事業場は当分の間努力義務。
・ストレスチェック制度導入ガイド(厚生労働省)~
労働者にとっての意義 事業者にとっての意義
- 自らのストレス状態を知る 1.メンタルヘルス不調になることを未然に防ぐ
- セルフケアのきっかけ 2.問題の把握と職場改善の具体的取組
- 面接指導を通して就業上の措置 3.労働者のストレスが軽減され、労働生産性の向上
- 職場の改善
・子育て支援=主任・主幹が担う役割となっている。
・保育が多様化・複雑化している。専門性は高めないといけない、ストレスはある中で、少し整理整頓するためにグループで共有
・職場の人間関係、保護者対応、こどもとのかかわりを通して、自身の課題を振り返りグループで共有
◇「性への配慮について~保育者の視点と専門性~」
・保育所や認定こども園等における保育内容の専門性について
遊びや生活における触れ合いなどを通した愛着の形成は自己肯定感を育む。生きていくための基礎となるので、欠かすことのできないかかわり。(抱っこ・おんぶ、プール遊び・水遊び、乳児への排泄の援助など)
・子どもの性別への違和感や性自認への配慮として、就学前頃になると性別に関しての自覚や違和感を感じ始める子もいるので、身体的な性別にとらわれず、柔軟に対応することの必要性を保育者間で確認し対応する。
講演2.「主任・主幹保育者によるメンタルヘルス・マネジメント」
桜美林大学 リベラルアーツ学群長 教授 種市康太郎 氏
- 労働者の心の健康とその対策に関する現状
・メンタルヘルスも労災の対象。また、上司からのパワハラが一番多く、今の課題。
・安全配慮義務=声をかけ、相談にのり、仕事量を把握して減らしてあげるなど、具体的な措置をとったかどうかが問われる。
- 対人援助職の特徴
・ストレス要因=過重労働、心理的ストレスが大きい、自分の人格に向けられたと感じ燃え尽きる
・心理特徴=疲れていても笑顔、他者優先、役に立てなかった時の無力感、プロ意識を求め身内に厳しい
・福祉施設でのメンタルヘルス対策の進め方=推進担当者を決める、計画を策定、ストレスチェック
- 上司としての日頃の部下への関わり方
・上司として「した方がよいこと」=仕事に納得しないとストレスになるので、丁寧に説明
・上司として「しない方がよいこと」=1つひとつではなく一気に否定すると人格否定されたと思う
- シミュレーションで学ぶ早期発見から職場復帰までの進め方
・体調不良を訴えてきた人は、上司からみるよりも2段階悪くなっているもの
・部下からの相談は、解決を求めているのではなく分かってほしいと思っているもの
・専門医につなげるポイントとしては、医者は部下の見方をする。いつ頃から何があったか等、メモをとっておく
- 復職プロセスに関する問題点
・過度な特別扱いはしない。会社にはルールがあり、配慮にも限界があることを伝える。
・1人で対応せず、組織で取り組む
- ハラスメントに対する対策
・パワーハラスメントとは、①職場内での優位性を背景に ②業務の適正な範囲を超えて ③精神的・身体的苦痛を与えるまたは、職場環境を悪化させる行為
・パワーハラスメントにならないように気を付けるよりも、適切な日頃からのコミュニケーション
- 自分自身のケア
・うつ状態3大初症状(眠れない・疲れやすい・頭が重い等)
・人によって受け取り方が違う=チャンスと思うか、負担に感じるかによって、状況の見方や考え方が変わる
・生活習慣に気を付ける=仕事中心の生活だと、犠牲になりがち
・時には人の助けも借りる=災害と同様、うつ状態になってから医療機関を探しても遅い