研修名:令和6年度 子育て支援員フォローアップ研修会

日 時:令和7年1月17日(金) 13時30分~16時20分

場 所:オンライン(Zoomミーティング)

講 師:講義1 齋藤憲法 青森県保育連合会副会長

講義2 濱谷伊利子 保育部会副会長

講義3 草刈淳之助    〃

演 題:講義1 『不適切な保育を考える・・・人権擁護のためのセルフチェックリストの活用方法』

講義2 『保育あるある/こんなときどうする?(3歳未満児)』

講義3 『保育あるある/こんなときどうする?(3歳以上児)』

グループディスカッション 『子育て支援員・・・ここからが保育者のスタート』

司会者:金子泰雅

 

【講演1】

齋藤県保連副会長より『不適切な保育を考える・・・人権擁護のためのセルフチェックリストの活用方法』をテーマとした講義をいただきました。

令和4年、静岡県で発生した保育士による“不適切な保育”をきっかけに、国が調査を実施したところ施設ごとの認識が異なることや”不適切の定義の曖昧さ”があることがわかり、「不適切な保育に関する対応について(ガイドライン)」の策定に至った一連の経緯について説明がありました。

不適切な保育を考える上では、人権擁護のためのセルフチェックリストを活用することや、ハインリッヒの法則を用いて、1件の重大事故の前に、およそ29件の虐待等が疑われること、その前におよそ300件の望ましくない保育が行われているものと想定し、ちょっとしたヒヤリハットについても日常からアンテナを張って避ける努力が必要。と、その重要性について学びました。

また、まとめにおいては、児童の権利や保育所保育指針の視点からも、「子どもの人権に配慮した適切な保育を考えてみよう」と日々の保育に対する振り返り・気づき、安心安全が担保されていたかと問いかけ、望ましい保育を提供するように呼びかけました。

【講演2】

濱谷保育部副会長より『保育あるある/こんなときどうする?(3歳未満児編)』の講義をいただきました。

子育て支援員の仕事は、主に保育補助ですが、こどもの育ちを支えるとても大切なポジション

であり、大切な人的環境。こどもの成長を伝え合い、保育者同士の連携を図っていくことが重要です。と説明がありました。

3歳未満の子どもに対しては、基本的な生活習慣を身につけられるよう支援することが大切ですが、遊びを通して、体力・知力、あいさつなど、情緒豊かに育っていけるように導いていくことなど、一人ひとりの成長を把握しながら、次につながる援助が必要です。と講義があり、また、3歳未満の子どもを保育する上で大切なことは、

  • 一人ひとりに合わせた保育

欲求を満たしてくれることで愛着関係を築き、自己肯定感につながること

  • 安全で安心な環境

好きなことを遊びこむためには、環境を整える必要がある

  • スキンシップを大切に

精神的にも安定する

などと助言がありました。

【講演3】

草刈保育部会副会長より『保育あるある/こんなときどうする?(3歳以上児編)』の講義をいただきました。

同じ職場の同僚の視点では保育士と子育て支援員の区別がつきますが、子どもの視点では、みんな遊んでくれる大好きな先生であり、大切な人的環境である。と、子育て支援員の社会的存在価値に触れていました。

“保育あるある”では、年齢別、発達機能(身体、言葉、人間関係、できることの目安)別に保育現場でよくみかける事例に基づいて情景が浮かぶように詳細に解説されました。

 

例)3歳児の人間関係の発達においては、「なんで? どうして? といった質問が増える」発達過程にあり、質問の内容が高度になってくることや、感受性が豊かになり周りの人に興味がわいてくることについて、自分から少しずつ友だちのことも受け入れて考えられるようになる。

また、遊びが個から、複数、そして集団へと発展し、保育者の仲立ちの中でルールを理解し始める。など。

講演3のまとめとして、保育者だから・・・子育て支援員だから・・・と線を引くのではなく、

子どもの育ちに必要な一人として目の前の子どもの発達段階を理解したポジティブな関わり方・考え方をもって保育をしていこう。とお話しいただきました。

【グループディスカッション】

「子育て支援員」は、平成27年施行の”子ども・子育て支援新制度”に伴い、保育人材の不足を解消する一助として誕生した資格であることから、いずれは保育士資格取得につながっていくという意識をもって職務に従事すること。ここからが保育者のスタートとなることを説明し、ご理解いただきました。

ワークの設問内容としては、次の3つをポイントについて話し合っていただきました。

  • 講演1,2,3の感想について(知識、技術の獲得につながりましたか?)
  • 保育士資格取得への道に意欲や興味が湧きましたか?
  • 子育て支援員から保育士へのステップアップを想像した場合、どんな支援が必要ですか

受講者からは、

・不適切な保育について、セルフチェックを活用したい

・日々の保育において、改めて気をつけようと思った

・保育あるあるについて、こどもの発達過程を学ぶことができた

・こどもの発達過程を大切にしながら保育しようと思った

・保育士を目指したいと思っているが、仕事との両立が不安

・オンラインを活用した学びの場や費用負担の補助があれば試験を受けたい

などと前向きな声がありました。

 

子育て支援員のフォローをねらいとした研修は初めての開催とあって、受講した先生方は終始緊張した様子に見受けられましたが、子どもたちの心身の発達や命を預かる責任ある仕事であることを再認識し、かつ、保育士への道を考える意味では、とても意義のある研修となったと思われます。