研修会名:令和6年度 第2回新任保育者研修会
日 時:令和7年2月17日(月) 10:20~15:40
場 所:ホテル青森3F「孔雀の間」及びWeb
対 象: 保育経験1~3年目の保育者、及び「気になる子どもへの対応」について学びたい保育者
講 師:平川 大輔 氏(特定非営利活動法人ら・ぽると 理事長)
登壇者: 先輩保育者5名(発表)、黒沢 のぞみ 氏(グループディスカッション ファシリテーター)
概 要:
本研修は、経験1~3年目の新任保育者を対象に、現場で必要とされる基本姿勢や基礎的スキルを習得することを目的として開催された。特に「気になる子どもへの対応」に焦点を当てた講演や、先輩保育者によるエピソード発表、グループディスカッションを通じ、参加者が実践的な知識を深め、悩みを共有できる場となった。
新任保育者は、保育現場に立った瞬間からプロフェッショナルとして見られるが、現実には多くの不安や課題に直面する。個々の努力だけでなく、施設ごとの教育体制や継続的な学びの場が必要とされる中、本研修は、経験を積んだ先輩保育者の知見を学び、実践的な対応力を養う機会として重要な役割を果たした。
講義・演習の概要は以下の通りである。
■研修プログラム
●講演:「気になる子どもへの対応」(10:30~12:00)
◎講師: 平川 大輔 氏(特定非営利活動法人ら・ぽると 理事長)
本講演では、「気になる子ども」の行動に対する理解と対応について、具体的な事例を交えて解説された。主な内容は以下の通りである。
- 障がいの捉え方: 「医学モデル」と「社会モデル」の視点から、環境の調整と合理的配慮の重要性を説明。
- 気になる行動の背景: 「氷山モデル」に基づき、子どもの行動の背景にある要因を深掘りし、支援方法を考える。
- 発達段階の理解: 各年齢の発達の特徴を踏まえ、適切なサポートを提供する必要性を強調。
- 支援の視点: 行動の理由を多角的に分析し、環境調整を行うことで子どもが過ごしやすい場を作ることが求められる。
参加者からは「日々の保育に直結する内容だった」「子どもが困っている背景に目を向ける重要性を再認識した」との声が多く寄せられた。
●発表:「あのときの悩み、今、振り返ると…エピソード」(13:00~14:00)
◎登壇者:
- 沼辺 櫻 氏(岡三沢こども園)【あのときの悩み、今、振り返ると】
1年目の保護者対応の悩みや、失敗から学んだことについて語り、先輩のアドバイスをもらうことの重要性を強調。
- 工藤 あんな 氏(よしのこども園)【子どもとの関わり方に正解はない!】
指示が伝わらない子どもへの対応を見直し、関わり方の工夫が大切であることを学んだ経験を語った。
- 千葉 香純 氏(鹿中保育園)【環境の構造化】
子どもが安心して行動できるよう、場所・時間・活動・視覚的な構造化を取り入れた実践を紹介。
- 安田 優梨亜 氏(舞戸子の星こども園)【新任時代の悩みと今】
理想と現実のギャップに苦しみながらも、「見る・真似る・試す」を繰り返して成長した経験を共有。
- 神 有里 氏(チャリティー第一保育園)【保育士になって13年目を迎えて】
1年目の不安や失敗を乗り越え、経験を積み重ねることで成長した自身の保育観を伝えた。
参加者は、先輩保育者の具体的な体験談を通じて、自身の悩みと向き合うヒントを得ることができた。
●グループディスカッション:「あわてないで~みんなで考えよう乗り越え方~」(14:10~15:40)
◎ファシリテーター:
- 会場
・黒沢 のぞみ 氏(幼保連携型認定こども園チャリティー第一保育園 園長)
・沼辺 櫻 氏(岡三沢こども園)
・工藤 あんな 氏(よしのこども園)
・千葉 香純 氏(鹿中保育園)
・安田 優梨亜 氏(舞戸子の星こども園)
・神 有里 氏(チャリティー第一保育園)
- オンライン
・音喜多 康子 氏(チャリティー第一保育園)
・真手 めぐみ 氏(よしのこども園)
・佐々木 優 氏(よしのこども園)
・土屋 智裕 氏(岡三沢こども園)
・土嶺 美加子 氏(岡三沢こども園)
・吉田 諭大 氏(舞戸子の星こども園)
本セッションでは、参加者が少人数のグループに分かれ、新任保育者として直面する悩みについて意見交換を行った。
主なテーマとして、以下のような話題が挙がった。
- 保護者対応で困ったこと
- 子どものトラブルへの対応方法
- チームワークを高めるための工夫
- 失敗したときの気持ちの整理と対処法
最後に、各グループから学びや気づきを発表し、研修全体のまとめとした。
■研修の成果
- 「気になる子ども」への理解が深まった
発達の視点から子どもの行動を捉え、適切な対応を考える重要性を学んだ。
- 先輩保育者の経験を通じて、悩みの解決策を得た
保護者対応や保育実践の工夫について、具体的なアドバイスを受けることができた。
- 他施設の保育者と交流し、ネットワークを築くことができた
グループディスカッションを通じて、同じ立場の仲間と情報共有する機会となった。
■今後の展望
本研修で得た知識や経験を現場で実践し、以下の点を意識した保育が求められる。
- 子どもの行動の背景を理解し、支援の方法を工夫する
- 失敗を恐れず、学び続ける姿勢を持つ
- 先輩や同僚と積極的にコミュニケーションをとり、協力し合う
また、新任保育者にとって、継続的な学びの機会が重要であるため、今後も同様の研修を定期的に開催していくことが必要であると考える。