令和7年度施設経営セミナー

日時:令和7年7月16日 (水) 10:00~15:00

場所:ホテル青森 3階 孔雀の間 及びオンライン(Zoomミーティング)

講師:社会保険労務士法人ワーク・イノベーション 代表 菊地 加奈子 氏

■研修概要

令和7年度施設経営セミナーは、保育施設の経営や運営に関するさまざまな問題や課題について情報共有を図るとともに、それらの解決に向けて共通理解を深めることを目的としています。また、令和7年度から改正される処遇改善等加算の事務の一本化に伴い、配分方法や対象職員など各施設がより柔軟に賃金改善を図るため、その仕組みを理解するとともに、今日の課題である働き方改革のヒントを得ることで、働きやすく働きがいのある職場をつくることを目的としています。

 

現地受講とオンライ受講の2つの方法が選べるハイブリッド形式で行われ、保育現場での働き方改革また処遇改善の仕組みを理解するため多くの施設から参加がありました。

 

■研修プログラム

・講義1:「新・処遇改善のしくみの理解と職場改革」

講師の菊地加奈子氏による講演では、処遇改善等加算の一本化の概要として区分2の算定方法・キャリアパス要件と一本化後の加算Ⅰ+加算Ⅲ、区分3の研修修了要件と研修強化・加算対象人数や配分ルール等のポイントが解説されました。その中で特に気を付けていく点として配分ルールがあげられ、区分2は手当・賞与又は一時金等により改善、区分3は基本給・決まって毎月支払われる手当により改善し、区分2と区分3の合計の2/1以上を基本給や決まって毎月支払われる手当にて改善しなければならない。そして残金は一時金で支給することも可能であることをとりあげました。また質の向上分として支給される区分3については施設の中で研修を受けられる体制を作って行くことが大切であり、また配分は学びをきちんと受けている人に配分していくことが大切だとも話されました。

 

・グループワーク「処遇改善と働き方改革の課題について」

参加者がグループに分かれて、「処遇改善等の配分ルールは明確に決めているのか? 」「その処遇改善等加算が職員のモチベーションアップとなっているのか?」「運営していくうえでどの部分に悩んでいるのか?」を各施設での状況を出し合い、情報共有し参加者で同感し合い意見交換を行いました。各グループの発表に対し、講師の菊地加奈子氏が「公平な人事評価は難しく職務職責だけではなく、情の評価もあるのではないのか。また一人一人の働き方(ライフスタイル)を変えていくことで、職員のモチベーションアップやスキルアップに繋がっていくのではないのか」と、働き方改革のヒントを話されました。

 

・講義2:「課題解決へのヒントについて」

グループワークのあとには、園児減少に伴う収入減となるときの賃金改善の方法や人件費の改定分についての取り扱い方法、処遇改善等加算と人事評価、職場の体制整備について説明され、職員が安心して働ける環境を作るための施策が紹介されました。また、職種・雇用形態・役職ごとのキャリアパスや人事制度の仕組みが整っていることは施設向上の大きなメリットとなると解説され、施設の管理者にとってとても有意義な講義となりました。

 

■研修のまとめ~今回の研修を通して~

・ライフステージに合わせて時間・能力・モチベーションは異なるため、多様で柔軟な働き方を実現させていくための体制を整備していくことが重要。

・職員が5年後の自分の姿を考え、将来を見据え目標を持ってスキルアップを目指すことのできる環境があること。また、育児休暇等制度の正しい知識を持ちキャリアを支援していく体制の重要性。

・正職だけではなくパート職員も戦力としてのキャリアを支援していくこと。

・プロフェッショナルである保育者がスキルを提供している時間に適正に処遇配布していくこと。それには全ての職員をリスペクトしていくことが重要だ。

 

管理者が労務管理の知識を持つこと=職員との信頼関係が高まる

「働きやすい職場」と「働きがいのある職場」